世界語復習道場 第1回 文字と発音
中国は山東省の棗荘学院で世界語(エスペラント)を教えています、佐藤隆介です。今月から入門者のための当ページを連載することになりました。よろしくおねがいします。さて、この連載はすでに学習を進めている読者に、参考になる学習法をご紹介していきます。
アルファベットを使いこなすにはまず発音が重要です。文字と発音の学習の最終目標は、正確に発音できることです。正確に発音できる音は十分に聞き取れ、書き取れ、読み取れるからです。そのための学習は、理解、インプット、アウトプットの3つに分けて、すこしずつ進める必要があります。一度にできるようにはなりませんが、方法を意識していれば学習を進めながら能力を上げていくことができます。
理解
まずは理解の確認です。忘れやすい部分に絞って要点をまとめました。
音素
音素とは、ある言語で使う音を最も短く区切った最小の単位です。エスペラントはすべての文字と音素が一対一に対応します。以下は要点となる音素です。
| c: scio(スツィーオ)知識 | ĉ: voĉo(ヴォーチョ)声 |
| g: golfo(ゴルフォ)ゴルフ | ĝ: ĝirafo(ッジラーフォ)キリン |
| h: hundo(フンド)犬 | ĥ: ĉeĥo(チェーホ)チェコ人 |
| j: junio(ユニーオ)6月 | ĵ: ĵurnalisto(ジュルナリスト)ジャーナリスト |
| l: lilio(リリーオ)ユリ(植物名) | r: rare(ラーレ)まれに |
| s: sofo(ソーフォ)ソファー | ŝ: ŝafo(シャーフォ)ヒツジ |
| u: balau(バラーウ)掃け | ŭ: morgaŭ(モルガウ)明日 |
気づきにくいこと
- ・c, ĉ, ĝ, n は、舌先を上顎に付けて出す音。ts, tŝ, dĵ, ヌのように聞こえる。
- ĵ, z は、舌先を上顎に付けない。
- f, ĥ は、狭めたところに息を通す摩擦の音。f は下唇と上の歯の間を狭める。ĥ は舌の後ろ半分のところで狭め、半分開いたk の音。h は日本語の「ハヘホ」と同じく、どこも狭めない。hundo とfundo(底)は区別する。
- l は舌先と上顎の接触時間がr より長い。r はいろいろな音が許容されるが、スペイン語風の r が発音しやすい。スペイン語風のr は、舌先で上顎を1 回叩く——言いにくい場合には「巻き舌(複数回叩く)」になる。
- u は唇を丸め、舌を引いた“ウ”。ŭ は子音。音は短いu。
音節
音素のうち、最も発音がしやすいものを母音、それ以外を子音といいます。子音は母音の助けを必要とし、近くの母音と続けて発音されます。この一連の音が「音節」です。
- エスペラントではa, e, i, o, u が母音。音節の核になる。
- io のように母音が並んでいても1 つの核にはならない。つねに2 つの核、2 音節に分ける。
- j とŭ は音は母音に似ていても、子音(半母音)であり、音節の核にならない。
アクセント
単語のうしろから二番目の音節を強く読みます。たとえば sci-oj、a-li-aj、ho-di-aŭ のように。
書き方
地域によってアルファベットの理想の書き方は異なりますが、次の書き方をおすすめします。
- 書き順: j とi の点、t の横線、そして字上符(「ˆ」と「˘」)は各文字の最後に加える。あるいは筆記体のように、単語ごとまとめて点や線や字上符を加えてもよい。
- 「ˆ」は1 画で書き、やや縦長に書くときれいに収まる。
インプットの方法
テキストを目で追いながら、朗読を聞く方法がおすすめです。実際の音声から多くの特徴にふれることができるはずです。以下のURL から例文の朗読が聞けます。
音声:
- 例文:Laŭ Ludoviko Zamenhof bongustas freŝa ĉeĥa manĝaĵo kun spicoj.
- 訳:ルドヴィコ・ザメンホフによると、スパイスの効いた出来立てのチェコ料理は旨いらしい。
この例文はエスペラントのアルファベット28 字をすべて含んでいます。文の構造は以下のとおり。太字はアクセント。
- ( 修飾語)Laŭ Ludoviko Zamenhof ルドヴィコ・ザメンホフによると
- ( 動詞)bongustas おいしい
- ( 主語)freŝa ĉeĥa manĝaĵo 出来立てのチェコ料理 / kun spicoj スパイスの加えられた
各部ごとにまとまりが感じられるように読まれます。各部の構造的な中心(下線部)や伝えたい部分ほどはっきりと読むことにも注目してください。また、音だけ聞いて文字が思い浮かぶか、文字だけ見て音が思い浮かぶかも挑戦してください。
アウトプットの方法
綴り方と発音に気を配りつつ、書きながら音節ごとに発音します。以下に例と注意を挙げます:
- 21 音節ある
- 主語が動詞のうしろに来ているが、エスペラントでは、通じる限り問題ない。典型語順「主語・動詞」に変えて “… manĝaĵo kun spicoj bongustas.” としてもよい。
まとめ
目・耳からの「インプット」と、手・口からの「アウトプット」が、初期に高い学習効果を生みます。聞きやすい音声の「ドリル式エスペラント入門」やアプリ「Duolingo」は無償で使え、インプットにおすすめです。ゲーム「ことのはアムリラート」シリーズも優良な音声が体験できます。書くときは音節ごとに心の中で正しい発音を思い返してアウトプットしましょう。誰かに発音のチェックをしてもらえれば最高です。さて、次回は文型を操る練習法をご紹介します。


