Vortaro kun 230 mil tradukoj

Kajero

中国は山東省の棗荘学院で世界語（エスペラント）を教えている佐藤隆介です。語学にはよい練習が重要です。今月は文の基本構造「文型」の練習法をご紹介します。

このコーナーでは、名詞の導入は最低限にとどめます。使う名詞は自分で調べ、用例を読んでどんどん使ってください。用例豊富な学習辞書『エスペラント日本語辞典 第2版（紙版とWindows 版）』が最も参考になります。オンライン辞書は広高正昭編『実用エスペラント小辞典』 と、そのアプリ版、沢渡みかげ作『エスペラント辞書（iOS 版, Android 版）』が便利です。拙作多言語辞書 vortaro.jp もお試しください。これらに見つからない用語は、JEI 会員用専用ページにある山川修一編『日エス現代用語集』（1.2 万語超収録）が便利です。JEI 会員用ページには「Kursejo - 学習相談掲示板」があります。

用例・フレーズを覚える方法はいろいろありますが、下で紹介する練習のほか、自分に合いそうなものを探して試してください。覚えきれない場合があるでしょうが、記憶は忘 れるようにできているので、めげないでください。思い出そうと努力することで記憶は強化されます。

文型

今回のテーマは文型です。まず文を構成す る要素について説明しましょう。

文の成分

品詞と語尾については、すでに理解していると仮定して話を進めます。

文には構造があり、その要素を文の成分といます。文の成分として、中心には述語動詞があり、述語のペアとして主語があり、動詞の下位には目的語と補語が配置されます。ここにさらに文に対する修飾語が加わります。英語においては、この構造は語順と品詞によって示されます。エスペラントでは主に語尾か前置詞で判断し、語順に頼る必要があるのは主語と補語の判別のみです。

文の成分の判別

• 述語：-as, -is, -os, -us, -u のいずれかの語尾 を持つ
• 目的語：語尾 -n を持つ
  ※例外：-n を付加しない不変化詞がある（後述）。
• 主語・補語：語尾 -n がなく、前置詞に導かれていない。形態からは主語と補語は判別できない
• ・文に対する修飾語：副詞であるか、前置詞に導かれている
  ※例外：前置詞のかわりに語尾 -n を使う特定の表現がある（後述）
  

文の各成分の意味は次のとおり：主語は動詞の行為の主体、目的語は行為がおよぶ客体であり、補語は目的語に対し、目的語がなければ主語に対し、それがなんなのか、どうなのかの説明をします。より具体的な意味は動詞が決定します。日本語の直感に反した構造を持つ動詞もあります：plaĉi, surprizi, dolori, ktp.

例：Via donaco plaĉas al mi.
（あなたのプレゼントが気に入っている。）

La subita tondro surprizis min.
（突然の雷が私を驚かせた。）

La vangodento doloras min.
（奥歯が痛む。）

文型

文は、その動詞によって、一定の型を示す傾向があります。これを文型といいます。実際の文の型を細かく分類してみると20 ～ 30種類にも分けられますが、学習しやすいように単純化すると、基本文型は以下の4パターンと3つの補足に収束します。

それぞれ述語にくわえ、

1. 主語がある文
2. 主語と補語がある文
3. 主語と目的語がある文
4. 主語と目的語と、目的語を説明する補語がある文

の4文型があり、さらに補足として以下のものがあります：

1. 無主語文：無主語になる表現がある。形式主語はない。命令法の文で主語 vi は省略できる
2. 修飾語：文を修飾する語句が任意の数加わる
3. まれに主語を説明する補語がふらっと現れる場合がある

練習法

それでは練習です。今回は例題としてスーパーの売り場にシーンを限定してみます。なお、文型は、文の成分のS（主語）、V（動詞）、O（目的語）、C（補語）の組み合わせで表現しました。今回はS・Cの文型です。

SVC文型の練習 “Kio estas -o?”

これは、主語が何なのか・どうなのかを示す動詞の文型です。さて、あなたは練習が てらスーパーに行きます（想像でもいいですが、実際に行ったほうがいいです）。あなたはesperantisto ですが、komencanto ですから知らないことがたくさんあります。商品を見るたびに “Kio estas tio?” と思いましょう。先輩がいれば幸運です。尋ねれば “Tio estas … -o(j)” と答えてもらえます。ただし食材には地域性があり、意外と学ぶ機会がなく、先輩も答えに困るかもしれません。スマホで辞書を検索し、10 語ほど溜まったら、売り場をもう一周し、tio estas -oj... kaj tio estas -oj... と、知っている商品の名を思い出していきます。人と互いにKio estas tio と指差し出題しあうといいです。このとき、意識は文法や発音に集中しすぎないようにし、次第に早く矢継ぎ早に問答を行います。文法を考えないようにすることで、伝えたいことを直接言葉にする能力が成長します。およそ20 分間の練習でどんなものにも「Kio estas tio?」と「Tio estas ...」のやりとりができるようになっているはずで す。調子が出てきたと思ったら、estas を用いた他の表現 "Fragoj estas ruĝaj fruktoj." などの描写にも挑戦してみてください。

さて、estas 以外のSVC文型の動詞の文も読んでみましょう。以下の例文はすべてSVC文型だけで作られています。自由な語順の文がありますが、並び替えずとも読めるよう慣れてください。

1. Estas mateno.
2. Ŝi ŝajnas ĝoja hodiaŭ.
3. La balkono aspektas ruĝa.
4. Tieaj rozaj burĝonoj floroj fariĝis.

解説

• 1） 時間帯、季節、天気を言う文は無主語になる。
• 2） hodiaŭ は修飾語。
• 4） tie/a は「その場所の」。fariĝis は「なった、なっている」。Tieaj rozaj burĝonoj が主語、floroj が補語。

上の動詞はどれも主語が何なのか・どうなのかを示すという意味では esti と同じです。それぞれの特徴は、主語について ŝajni はどのように「思われる」か、aspekti はどのように「見える」か、fariĝi はどう「変化する（なる）」かを示す点にあります。

上記の練習をしてみると、意外と口をついて出るようになるものだと思われたのではないでしょうか。この練習法は東京エスペラントクラブ(TEK) で行われているものを参考にしました。次回も文型の練習の続きです。

音声サンプルがあります：