固有名詞(人名・地名・書名などの特定の名前)も、エスペラントでは基本的に名詞として扱われます。そのため、多くの固有名詞はエスペラントの名詞と同様に -o で終わる形にすることができます。例えば、「ロンドン」はエスペラントで Londono(ロンドーノ)、「パリ」は Parizo(パリーゾ)、「ニューヨーク」は Nov-Jorko(ノヴヨルコ)のように -o を付けた形が一般的です。また人名でも、英語名 John は Johano(ヨハノ)、Elizabeth は Elizabeto(エリザベート)といった具合に、伝統的にエスペラント風の綴りと -o 終わりの形がよく用いられます。これをエスペラント化(エスペラント風への転換)と呼ぶことがあります。一方で、固有名詞の -o 終わりは必ずしも付けなくてもかまいません。特に国際的に知られた人名やブランド名・作品名などは、原語に近い形で表記されることも多いです。その場合でも、単語の先頭を大文字にするというルールは守ります。エスペラント文中では固有名詞も他の名詞と同様に文頭以外では通常小文字で書き始めますが、最初の文字だけは大文字にする決まりです。
固有名詞をエスペラントで使用する際に注意すべき点は、その語形変化です。エスペラント化された固有名詞(Esperantigita nomo)であれば普通の名詞と同様に扱えます。例えば Johano という人名なら、目的語にするとき Johanon(ヨハーノン)と -n を付ければよいですし、複数形(同名の複数人がいる場合など)は Johanoj(ヨハーノイ)と -j を付けられます。一方、非エスペラント化の名前(例えば綴りがそのまま外国語の名前)を用いる場合、そのままだとエスペラントの語尾では終わっていないことがあります。そのような名前が 母音で終わっている場合、必要に応じて直接 -n を付けて対格を表すことができます。例えば Anna(アンナ)という名前は語尾が -a (母音)で終わっているので、目的語にするとき Annan(アンナン)と -n を付けるだけで「アンナを」という形になります。しかし、名前が 子音で終わっている場合(例えば David や Elisabeth など)はそのままでは -n を付けにくいため、-o を補ってから -n を付ける方法がよく使われます。例えば Felix という名前はエスペラントでは Felikso とするか、目的格では Felix-on(フェリックス=オン)のように綴りの後にハイフンと -on を付けて表現した例があります。ザメンホフ(エスペラントの創始者)は小説中で登場人物 Molly を目的語にする際に Molly’n と表記し、発音上は Molin(モリン)となるよう示しています。このような書き方は特殊な例ですが、エスペラントでは非エスペラント化の固有名詞を文法的に処理するために -o- を挿入して語尾を補う方法が取られることがあります。もっとも、実際には固有名詞が目的語になっても意味が明確であれば -n を付けない場合もある(文脈で判断する)という運用も見られます。初心者のうちは無理に特殊な書き方をせず、エスペラント化された形を使うか、名前の前に普通名詞を添えるなど(例:「田中さんに会った」=Mi renkontis sinjoron Tanaka、ミー レンコンティス スィニョーロン タナカ:「私はタナカさんという紳士を会った」の意)工夫すると良いでしょう。
地名や組織名なども同様で、多くは伝統的なエスペラント名があります。例えば日本は Japanio(ヤパニーオ)といい、「大阪」は Osako(オサーコ)と表記されます。このように現地語とは綴りが変わることもありますが、発音や国名接尾辞 -io などに基づいて定着した形です。書名や映画名などの作品名については、その作品がエスペラントに翻訳されていれば訳題を用いるのが一般的です(例:『星の王子さま』→ La eta princo)。まだエスペラント訳が存在しない場合は、原題をそのまま表記することもあります。この場合、エスペラントの文章ではそのタイトルが固有名詞であることを明示するためにしばしば引用符やイタリック体が用いられます。また必要に応じて説明的な単語を補い、例えば 「~という本」 のように表現してタイトル自体に変化語尾を付けずに済ませる書き方もあります。例えば「私は『Harry Potter』を読んだ」は Mi legis la libron “Harry Potter”. のように libro(本)という語を入れて libron に対格語尾 -n を付け、作品名 Harry Potter には手を加えないという方法があります。このようにすれば Harry Potter 部分は固有名詞の原形のままでも文法的に破綻しません。エスペラントでは柔軟な運用も可能ですが、基本的には固有名詞も名詞の一種とみなして状況に応じた処理をする必要がある点を押さえておきましょう。
Vi povas provi Legilon: 3.4 固有名詞とその用法
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