エスペラントでは、名詞を修飾する形容詞は基本的に 名詞の前 に置きます。例えばbela floro(ベーラ フローロ)といえば「美しい花」という意味になり、日本語の語順(「美しい花」)と同じ感覚で理解できます。別の例では、granda hundo(グランダ フンド)で「大きな犬」という意味です。もっとも、エスペラントの語順は日本語や英語ほど厳格ではないため、形容詞を後ろに置いて floro bela のように表現することも可能です。語尾変化によってどの語が名詞でどれが形容詞か明確にわかるため、形容詞が名詞の後に来ても意味上の混乱は生じません(例えば knabino bela と言えば bela の語尾 -a から「少女(knabino)が美しい」のだと理解できます)。しかし、このような語順は詩的であったり強調のニュアンスを帯びる場合が多く、標準的・日常的な文では形容詞+名詞の順序が一般的です。初心者のうちは基本どおりに形容詞を名詞の前に置く語順に慣れると良いでしょう。
形容詞はその修飾する名詞と数・格が一致(いっち)しなければなりません。これは「名詞の語尾変化が形容詞にも及ぶ」ということです。エスペラントの形容詞は語尾 -a を持ちますが、名詞が複数なら形容詞にも -j を付け、名詞が対格なら形容詞にも -n を付けます。例えばbela hundo(ベーラ フンド、美しい犬)に対して複数形なら belaj hundoj(ベーライ フンドイ、美しい犬たち)となり、対格なら belan hundon(ベーラン フンドン、美しい犬を)となります。複数・対格の両方を表す場合は belajn hundojn(ベーライン フンドイン、美しい犬たちを)のように -ajn(形容詞語尾 -a + 複数 -j + 対格 -n)という形になります。名詞と形容詞を組み合わせた形でも、この単数・複数+主格・対格の4パターンがしっかり示されるわけです。実際、bona tago; bonaj tagoj; bonan tagon; bonajn tagojn(良い日〔単複・主対〕)のように、形容詞 bon-(良い)+ 名詞 tag-(日)の語形変化を比較すると一目瞭然です。
例:la bonaj amikoj estas tie (その良い友人たちはそこにいる)、mi havas bonajn amikojn (私は良い友人たちを持っている=良い友人たちがいます)
このルールは形容詞が複数ある場合でも同様です。名詞句の中に複数の形容詞(あるいは数量詞や所有語など、名詞を修飾する語)がある場合、それらすべてが修飾先の名詞の数・格に合わせて変化します。例えば「その大きな赤い花」という名詞句では、la granda ruĝa floro(ラ グランダ ルージャ フローロ)となります。「大きな(granda)」「赤い(ruĝa)」という2つの形容詞はどちらも単数主格の名詞 floro(花)を修飾しているので、それぞれ単数主格形 -a のままです。複数形なら la grandaj ruĝaj floroj(ラ グランダイ ルージャイ フローロイ)となり、-aj に変わります(大きな赤い花々)。対格なら la grandan ruĝan floron(ラ グランダン ルージャン フローロン)となり、-an(大きな赤い花を)となります。複数対格では la grandajn ruĝajn florojn(ラ グランダイン ルージャイン フローロイン、大きな赤い花々を)のように、形容詞・名詞のすべてが -ojn / -ajn で終わります。このように名詞句内では、主要な名詞だけでなくそれに付随する語(形容詞、指示語など)も統一して変化する決まりになっています。例えば私の友達と言うときは mia amiko(ミア アミーコ)ですが、複数なら miaj amikoj(ミアイ アミーコイ)と mia も miaj に、対格なら mian amikon(ミアン アミーコン)と mian に、それぞれ変わります。指示詞 tiu(ティウ、この/その/あの)も複数形 tiuj(ティウイ)がありますし、対格 tiun(ティウン)もあります。冠詞 la は変化しませんが、それ以外で名詞を修飾する語は基本的に名詞に合わせて -j や -n が付くと考えてください。
なお、エスペラントでは形容詞が名詞に一致して変化しますが、これはヨーロッパの多くの言語と似た特徴です。英語では a big dog / big dogs のように形容詞 big は変化しませんが、エスペラントでは granda hundo / grandaj hundoj のように -j が付与されます。ドイツ語などでも「大きな犬」は ein großer Hund、複数形は große Hunde のように冠詞・形容詞が変化します。エスペラントの場合、形容詞変化のパターンは -a, -aj, -an, -ajn の4通りしかなく規則的なので、慣れれば難しくありません。これは語形の一致と呼ばれる文法要素で、文の読み手・聞き手にとっては「どの形容詞がどの名詞に係るか」が明確になるメリットがあります。実際、エスペラントでは語順を入れ替える自由度が高いですが、それでも誤解が生じにくいのは形容詞と名詞の一致があるおかげです。
Vi povas provi Legilon: 3.3 名詞句の構造と修飾関係
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