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「もし」なら、いつも -us?――se と仮定法

文法Cai
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Se vi venos morgaŭ, mi ĝojos.
あなたが明日来るなら、私はうれしいです。

Se vi venus morgaŭ, mi ĝojus.
仮にあなたが明日来てくれたら、私はうれしいのですが。

どちらも「もし来るなら」という条件を含みます。それでも、一方は venos/ĝojos、もう一方は venus/ĝojus です。se があるかどうかだけでなく、その内容をどのように捉えて述べるかが違います。

【1.se は条件を導く語、-us は想像として述べる形】

se は「〜という条件なら」「〜だとすれば」に当たる語です。se に続く節の動詞を、いつも -us にする規則はありません。

Se Ana estas ĉi tie, ŝi povas helpi nin.
アナがここにいるなら、彼女は私たちを手伝えます。

ここにいるかは確認できていませんが、実際にいる可能性があります。「もし本当にいるなら」と、その場合の話をしています。条件の中でも、現在の状態には estas を使えます。

estas のような -as、過去の -is、未来の -os は「直説法」です。ただし、se の中で使ったからといって、その条件が事実だと断言しているわけではありません。

この文は「アナはここにいます」という報告ではなく、「ここにいるなら」という条件付きの話です。

【2.現実と違う状況を思い描くなら -us】

例えば、アナが今は別の町にいて、ここにはいないと分かっているとします。その状況で、こう言えます。

Se Ana estus ĉi tie, ŝi povus helpi nin.
もしアナがここにいたら、私たちを手伝えるのに。

今ここにはいないアナが、ここにいる場面を想像しています。その想像上の状態を estus、そこから考えられる手伝いを povus で述べています。

-us は「仮定法」と呼ばれます。PMEGでは「想像の法」という趣旨の名称で説明されています。現実とは異なる状況や、想像の中に置いた行為を述べる形、と考えると分かりやすくなります。

「アナがいるかもしれないので、いる場合を考える」のか、「ここにはいないが、いたとしたらと想像する」のかを比べてみましょう。

【3.未来の条件には -os も使う】

Se vi venos morgaŭ, mi ĝojos.
あなたが明日来るなら、私はうれしいです。

明日来ることを、現実に起こり得る条件として述べています。来るのも、それを喜ぶのも未来なので、venos/ĝojos を使っています。

エスペラントでは、このような未来の条件を se の後で -os にできます。英語の if 節で学ぶことのある「未来の話でも現在形」という扱いを、そのまま持ち込む必要はありません。

Se vi venus morgaŭ, mi ĝojus.
仮にあなたが明日来てくれたら、私はうれしいのですが。

こちらは、明日来てくれる場面と、その場合の自分の喜びを、想像として描いています。文脈によっては、控えめな希望のようにも響きます。

未来にはまだ確定していないことが多いため、-os と -us のどちらでも表せる場面があります。話し手がその内容をどう捉えて述べるかに違いが出ます。

したがって、「-os なら必ず来る」「-us なら絶対に来ない」とは決まりません。また、「可能性が何%以下なら -us」という境界もありません。不確かだから、という理由だけで -us を選ぶのではありません。

【4.-us 自体には現在・過去・未来の区別がない】

Se mi havus tempon nun, mi helpus vin.
今、時間があれば、あなたを手伝うのに。

Se mi havus tempon morgaŭ, mi helpus vin.
明日、時間があれば、あなたを手伝うのですが。

どちらも havus/helpus です。現在の話か未来の話かは、nun「今」、morgaŭ「明日」や文脈で分かります。

昨日は忙しくて手伝えなかった、という話なら、次のようにも言えます。

Se mi havus tempon hieraŭ, mi helpus vin tiam.
昨日、時間があったなら、そのときあなたを手伝ったのに。

過去についての想像にも、単純な -us を使えます。ここでは hieraŭ「昨日」と tiam「そのとき」が、想像している時を示しています。

過去の完了を明示したいときには、estus helpinta「手伝っていたであろう」のような、estus と完了分詞を組み合わせた形も使えます。ただし、過去の仮定だから必ず複合形にしなければならないわけではありません。

「日本語で『〜だったら』と訳せるから過去」「-us は過去の仮定を表す語尾」とは覚えないようにしましょう。

【5.過去の事実が不明なだけなら、se の後でも -is】

Se Ana jam venis, ni povas komenci.
アナがすでに来たのなら、私たちは始められます。

到着済みかどうかは分かりませんが、実際に来た可能性を条件にしています。到着は現在より前のことなので venis です。

「まだ確認できていない過去の出来事」と「実際とは違う過去を思い描くこと」を区別しましょう。どちらにも日本語で「もし」を付けられますが、同じ形にする必要はありません。

また、se の条件に対する主節は、指示になることもあります。

Se vi estas laca, ripozu.
疲れているなら、休んでください。

条件は estas、指示は ripozu です。二つの節の語尾を、形だけ見て機械的にそろえるわけではありません。

【6.se がなくても -us を使える】

Ĉu vi povus helpi min?
手伝っていただけますか。

-us は、依頼や願いを控えめに述べるときにも使います。この文には se がありませんが、自然な表現です。実際には手伝えないはずだ、と決めつけているわけでもありません。

se が -us を必須にしないのと同じように、-us を使うために必ず se を書く必要もありません。

【読むとき・書くときの確認】

・se の節が、何を条件にしているかを確かめる。
・事実かもしれない内容を条件として置くのか、想像上の内容として描くのかを考える。
・直説法なら -as/-is/-os で時を選ぶ。未来の条件には -os も使える。
・-us 自体に時制や確率の数値を読み込まない。
・主節が予想・想像・指示のどれなのかも、別に確かめる。

【確認問題】

① アナがもう到着した可能性はありますが、まだ確認できていません。「すでに来たのなら始められる」と言うとき、空欄に venis と venus のどちらを入れるでしょうか。

Se Ana jam ____, ni povas komenci.

② アナは今ここにいません。「ここにいたら、手伝えるのに」と想像するとき、空欄は estas と estus のどちらでしょうか。

Se Ana ____ ĉi tie, ŝi povus helpi nin.

③ Se vi venos morgaŭ, mi ĝojos. の venos は、se の後だから誤りでしょうか。

【答え】

① venis
起きたかもしれない過去の出来事を、条件として置いています。未確認であることだけでは -us にしません。

② estus
今はいないアナが、ここにいるという場面を想像しています。

③ 誤りではありません。
未来に来ることを条件として述べるので、se の後でも venos を使えます。

【関連記事】
ke の後で -u を使うのはなぜ?
ke も se も、それだけで後の動詞の形を決めるわけではありません。どんな内容として述べているかを読む、という点で共通しています。

【参照】
PMEG:se の節
PMEG:仮定法・US語尾
lernu! 文法:動詞(仮定法)

文法事項は上記資料を参照しています。説明・例文・日本語訳・確認問題はKajero向けに構成したものです。

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