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同じ「ため」でも違う――pro と por

文法Cai
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Mi restis hejme pro la pluvo.
雨のため、私は家にいました。

Mi restis hejme por ripozi.
休むために、私は家にいました。

日本語では、どちらも「ため」と訳せます。でも、雨は家にいた理由であり、休むことは家にいることで実現したい目的です。pro と por は、日本語の一語だけでなく、文の中の関係を見て選びます。

【1.pro は原因・理由、por は目指す目的】

最初の文を、「何が理由で家にいたのか」と読み直してみましょう。

pro la pluvo
雨が降っていたことが理由で

雨を降らせることを目指して、家にいたわけではありません。雨という事情を受けて、家にいたのです。

一方、二つ目の文では「家にいて、何をしようとしたのか」を考えます。

por ripozi
休むことを目的として

この文は休むつもりだったことを示しますが、実際に十分休めたかどうかまでは分かりません。目的と、達成された結果は別です。

二つを一つの文に入れることもできます。

Pro laceco, mi restis hejme por ripozi.
疲れていたので、休むために家にいました。

laceco「疲労」が理由、ripozi「休むこと」が目的です。

【2.pro は「悪い原因」や「過去」に限らない】

Ŝi ridetis pro la bona novaĵo.
そのよい知らせに、彼女はほほえみました。

pro は、うれしいことが原因の場合にも使えます。「〜のせいで」とだけ覚えると、よい出来事に使えなくなってしまいます。

また、「pro は過去、por は未来」という時の区別でもありません。

Pro la morgaŭa ekzameno, mi studas hodiaŭ.
明日の試験があるので、私は今日勉強しています。

試験は明日ですが、その予定が今勉強する理由になっています。時系列だけでなく、何を理由として述べているかを読み取ります。

【3.pro vi と por vi――同じ人でも役割が変わる】

Mi faris tion pro vi.
あなたが理由で、私はそれをしました。

Mi faris tion por vi.
あなたのためを思って、私はそれをしました。

pro vi は「あなたの存在・言葉・事情などが、行動の理由だった」と述べます。por vi は「あなたの役に立つように、あなたのためになるように」と、行動が向かう相手を示します。

pro vi が非難になるか、感謝や好意になるかは文脈次第です。por vi も、相手に実際に喜ばれたとまでは述べていません。

ただし、原因・動機と目的の境界がいつも明確とは限りません。「その人の幸せを願う気持ちが動機だった」と捉えれば、pro でも「その人のためを思って」に近い意味になります。目的を動機として示す用法もあります。

両方が使える場面もありますが、これから目指す目的や、誰のためにするのかを明確に書くときは、por を選ぶと分かりやすくなります。

【4.por は「誰向け」「何用」にも使う】

Mi aĉetis ĉi tiun libron por Ana.
私はアナのために、この本を買いました。

アナに読んでもらうなど、アナのために買ったことを示します。この一文だけでは、もうアナに渡したかどうかは分かりません。

Ĉi tiu libro estas por komencantoj.
この本は初心者向けです。

Ĉi tiu akvo estas por trinki.
この水は飲むためのものです。

por の後には、人を表す名詞も、trinki のような不定詞も置けます。「誰が使うものか」「何に使うものか」という用途も表せます。

por には、このほか「〜にとって」という判断の立場や、支払いの対象などを示す用法もあります。どの文でも無理に「〜することを目的として」と訳す必要はありません。

【5.por + 不定詞と、por ke + 文】

目的を行為として述べるには、por の後に不定詞を置けます。

Mi fermis la pordon por dormi trankvile.
静かに眠るために、私はドアを閉めました。

この文では、ドアを閉めたのも、眠ろうとしているのも私です。

別の人がすることを目的として示すなら、por ke の後に主語を置くと明確です。

Mi fermis la pordon por ke la infano povu dormi.
子どもが眠れるように、私はドアを閉めました。

閉めたのは mi、眠れるようにしたい相手は la infano です。目的として「そうなってほしい」と述べるこの節では、povu のような -u の形を使います。主節が過去形 fermis でも、目的を表す -u を過去形にそろえる必要はありません。

なお、por + 不定詞の動作主が、どんな文でも必ず主節の主語になるわけではありません。動詞の種類や文の組み立てによって変わるため、誰の行為か曖昧になりそうなら、por ke で主語を明示すると読みやすくなります。

原因を文で述べる場合は、pro tio, ke ... や ĉar ... を使えます。

Mi fermis la pordon pro tio, ke estis brue en la koridoro.
廊下が騒がしかったので、私はドアを閉めました。

これはドアを閉めた理由です。子どもを眠らせるという目的の por ke とは、つながり方が違います。

por dormi の por を機械的に pro に替えるのではなく、「〜なので」と言いたいときは、ĉar や pro tio, ke を使って理由を文にすると明確です。

【6.Dankon pro と Dankon por は両方使える】

Dankon pro via konsilo.
助言をありがとうございます。

Dankon por via konsilo.
助言をありがとうございます。

pro は、その助言を感謝する理由として示します。por は、受けた助言へのお礼という関係を示します。どちらも正しい表現です。

por を「まだ実現していない目的」とだけ覚えて、すでに受けた助言への Dankon por を誤りだと判断しないようにしましょう。

【読むとき・書くときの確認】

・「何が理由でそうなったか」なら、まず pro を考える。
・「何を実現したいか」「誰のためにするか」なら、まず por を考える。
・pro を悪い原因だけに、por を未来の出来事だけに限定しない。
・目的を文で書くときは、por ke の節の主語と -u の形を確かめる。
・感謝など、pro と por の両方が自然に使える表現もある。

【確認問題】

① 雨が降っていたことを理由に、家にいたと述べたい場合、pro と por のどちらでしょうか。
Mi restis hejme ____ la pluvo.

② 休むことを目的に、家にいたと述べたい場合はどうでしょうか。
Mi restis hejme ____ ripozi.

③ Mi fermis la pordon por ke la infano povu dormi. では、ドアを閉めたのと、眠れるようにしたい相手は、それぞれ誰でしょうか。

④ すでにもらった助言への Dankon por via konsilo. は誤りでしょうか。

【答え】

① pro
雨が、家にいた理由だからです。

② por
休むことが、目指す行為だからです。

③ 閉めたのは私、眠れるようにしたい相手は子どもです。
por ke の後に la infano と主語が示されています。

④ 誤りではありません。
Dankon pro via konsilo. も Dankon por via konsilo. も使えます。

【関連記事】
「来る」のは誰?――不定詞の動作主
ke の後で -u を使うのはなぜ?

【参照】
PMEG:pro(原因・動機)
PMEG:por(目的・用途・感謝など)
PMEG:前置詞と不定詞
PMEG:ke の節の動詞の形

文法事項は上記資料を参照しています。説明・例文・日本語訳・確認問題はKajero向けに構成したものです。

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